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がしゃーん!ぱらぱら・・とド派手な音がして反射的に音のした方を見た。
気になったからではない。教室の中で起きたからだ。
あたしが見た時には既に遅く、廊下にイスが消えていくのだけが見えた。
ちぇ。ガラスの破片がキラキラするの見たかったのに。
先ほどから何やら喧騒が始まったのは知っていた。
だけど朝の10時を回った頃だ。ハッスルするのは早いだろう。
しんと静まり返った教室。どこかの作家が波のように音がなくなると表しそうなそんな感じ。
メンチをきるオレンジ色ストレート髪の女生徒。エミコだ。綺麗に染められたあの髪色は目が映える。女子にしては高い身長のせいで、先公とほぼ同じ高さに目がある。
いつもは綺麗なその顔が今に限って恐ろしい。 「あ?んだコラ!?フカシこいてんじゃねぇよ!」 ひィッ、と小さな悲鳴を上げた女教師。かわいそう。エミコはうちのクラスのスケバンだ。 でもイスを投げつけて廊下側の窓を割ったのは彼女じゃない。ツタエらしい。通常なら彼女はイスを投げたりする女じゃない。最初から聞いていたわけじゃないけど、多分女教師がまたツタエを侮辱したんだろう。 「ツタエがイモ引きに行っただ!?大概にしろよこのクソ女!」 「良いよエミコ・・ガラス割ったらスッキリした」 ふらりと女教師の横に並ぶツタエ。女教師とは頭ひとつ低い。見下すように見上げるツタエの左手はイスに伸びていた。 「まだ何かあんの?早く行かないと、今度はあんたの頭が砕けるよ」 「きょ・・教師に向かって・・」 「ツタエ、こいつボコられたいってさ」 「了解ッ!!」 声が裏返ってるくらいだからきっと女教師は怖いのだろう。早く目の前から消えればよかったのに。教室から出て行かないのを逆手に取る。子供は頭が良いんだよ。教師諸君。 エミコの言葉を受けて、ツタエがイスを手にとり――――がっしゃーん!と再び音が鳴った。ツタエ、一枚割って気が済んだんじゃないの?何枚割る気?あーあ。もうこの教室にガラスの窓というものがなくなっちゃったじゃん。冬前に教師が修理してくれるかは保証できないってサラ言ってたじゃん。一目散に逃げていく教師に鼻を鳴らし、エミコが満足そうにツタエと話す。別に珍しい光景じゃない。割られていないガラスの方が多かった。いや、今ので全部ガラスなし窓になったケド。 「何があったの?」 「見てたんじゃないの?」 苦笑をしながらユリが教えてくれるには、やっぱり女教師がツタエが他校の生徒とケンカをしたとホラを吹いたらしい。ツタエはエミコの右腕的存在。エミコには直接説教できない教師が、横のツタエを標的にしたのだろう。彼女は黒板落としの名人で色々仕掛けをするのは好きだが、誰かにケンカを売ったりするような凶暴な性格ではない。楽しい事が大好きな寂しがり屋だ。 このクラスはそんなヤツらがとかく多い。制服を着用している人の方が少ないくらいだ。 いくえはお嬢様のクセにゴスロリだし、キョーは水商売でバイトしてて遅刻の常習犯だし、マー子はレズだし、状況を説明してくれたユリはコスプレイヤーだし、メユはいつも機械いじってる機械オタクだし。 昨日より風通しの良くなった教室の外で、ガラスの破片の片付けをする双子姉妹、依音と惟音に志保と騒動の本人たち2人が加わった。何だかんだで良いトコもある。みんな似たような落ちこぼれだからね。 それぞれの気持ちがわかるみたい。この教室に普通の人はいない。そもそも普通ってなにさ? 今日も授業はなしかな。騒ぎを聞きつけた教頭が走ってくる音が聞こえる。きっとまたうるさくなるんだから、雲ひとつない空を見ながら寝るとしよう。本日もうちの組は賑やかだ。 女子校です。高校生。荒れてます。 2年5組全20人の名前と性格考えて遊んでました。 20060810 |